この暑い最中に、アリたちはせっせと旬の蜜を仕入れるのに必死です。
雑誌のインタビューなどをみていると、
よくバカな記者がバカな質問をしている。
「猪木さんにとってプロレスとは一言で言って何ですか?」
「デーモンさんにとってヘヴィメタとは一言で言って何でしょう」
この手の質問というのはインタビュアーが頭が悪いか、
相手のことをよく調べていないために出てくるのである。
これをやると質問側は一見かしこそうな問いを投げかけたように見えるが、
受け手のほうは困る。
アホな答えをすればアホがばれてしまうし、
本気で考えれば一言でなんか答えられるわけがない。
そういうことを言われた場合、
僕は、
「……愛です」
と答えることにしている。
答えるときに背すじにおぞぞが走り、
体温が三度ほど下がるが、
慣れればどうということはない。
「中島さんにとって、コピーとは」
「……愛です」
「中島さんにとって笑いとは一言で言って」
「……愛です」
「中島さんにとってコモドオオトカゲとは一言で言って」
「……愛です」
というふうに実にはまりのよい使い勝手のよい言葉が「愛」である。
だからビジネスマン諸氏も、
「あなたにとってビジネスとは」
とたずねられたら一言、
「愛です」
と答えるとよい。
——後略
『ビジネス・ナンセンス事典』中島らも著
全く関係がないのに、せっせと働くアリたちを見ていると、
「愛」について書いた中島らものエッセーが浮かぶのでした。
これは、自分が斜め下から撮ったもの。どうでしょう。
アオイの類の花は、見方を変えればハイビスカスのように華やか。
でもどことなく地味で目立たず、少しうつむき加減でいるくらいで好ましい。
これはアオイ科の中でも、ワタ。
ワタの花がこんなに美しいとは知りませんでした。
さて、奇妙なのはこちら。
ハスは、先日までの私の過剰な感激をヨソに、
次々と花を開いているのでした。
これなんて、もうすっかり花びらもボロボロ。
その真ん中で、つい「テクマクマヤコン…」と呟きたくなるアイツがデン。
宇宙との交信にも使えそうです。
感動が去ってしまえば、心の中の扱いも、こんなふうになるのですね。
ワタ(学名:Gossypium)
アオイ科ワタ属
一口に「ワタ」と言っても、ここから先に下位分類がずらりと連なる。
はじめは、アルボレウム(Gossypium arboreum)かと思いました。
俗に和名で「ワタ」というとアルボレウムを指すからです。
でも、花や葉を見るとやはり混乱。どれもとても似ているのです。
もしかしたらナンキンワタ、ヘルバケウム(Gossypium herbaceum)かもしれないし、
一体どれを指すのかわかりません。
花の命は短く、たったの一日。それでも、暑い時期には次々と花を咲かせるのです。
花の後、紡錘形にふくらんだ果実ができ、それが秋にはじけて中からもりっと綿が出てきます。
ナンキンワタなら、薬用部分は種子の毛(綿花)、綿実、根皮(綿根皮)。
原綿はほとんどセルロース。綿実は脂肪油、ゴシポールを含み、
これからしぼった油が綿実油となる。
綿実は催乳薬となり、新鮮な綿根皮ともども通経、陣痛促進剤になる。
(参考:ヤサシイエンゲイ/『原色薬草図鑑』北隆館P209)
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ハス(学名:Nelumbo nucifera)
ハス科ハス属
アジアの多くの国の国花。
仏教では、西方浄土の極楽は神聖な蓮の池と信じられているため、
寺の境内いハス池をつくって植えるようになったとのこと。
多くの仏典に「蓮華」の名で登場し、仏像の台座にもこの形がよく使われています。
原産地はインド亜大陸とその周辺。地中の地下茎から茎を伸ばし水面に葉を出します。
茎には通気のための穴が通っていて、子どもの遊びでもよく使われていたとか。
葉は円形で葉柄が中央につき、撥水性があって水玉ができます。
花は夏の朝に、水面まで花茎を立てて開花。
朝早く開いて、午後3時ごろには閉じる、という行為を3回繰り返し、4日目に散るのです。
泥の中にある根の部分が膨らんでレンコンに。
その他、花、葉、茎、種子も食用になります。
薬用部分は葉、雄しべ、果実、種子。
生薬名はそれぞれ、「荷葉(かよう/葉)」「蓮鬚(れんしゅ/雄しべ)」
「蓮実(れんじつ/果実)」「蓮肉(れんにく/種子)」。種子は多量のでんぷんを含みます。
関節痛によいほか、下痢止めや強壮薬にも。
(参考:季節の花300/Wikipedia/『原色薬草図鑑 I』p.54)
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ぼくの心をあなたは奪い去った
俺は空洞 でかい空洞
全て残らずあなたは奪い去った
俺は空洞 面白い
バカな子どもが ふざけて駆け抜ける
俺は空洞 でかい空洞
いいよ くぐりぬけてみな穴の中
さあどうぞ 空洞
——ゆらゆら帝国“空洞です”