2014年6月30日月曜日

20140630:ギンブロウ


これ、なんだかわかりますか?
先週の水曜日にせっせと蒔いたアレ。
ギンブロウです。


もう一度、冒頭の写真に戻ると、
「うーんしょっ」という声が聞こえてきそうです。
カラダを起こそうとしているところでしょう。

それにしても、先生からは「4〜5日で出てくる」と言われていたのですが、
本当にこんなにすぐに出てくるなんて。
昨日の朝にはまだお目見えしておりませんでした。
私のこの、ウキウキしている気持ちがわかりますか??

さて、見回してみると、木々は新芽ラッシュでした。



昨日お寺でいっしょに話をしていた人が、
「時間ができて、毎日散歩するようにしたら、
近所のケヤキに新芽が芽吹いていることに初めて気がついた。
ケヤキは季節ごとにすっかり様子を変える木で、
この新芽が芽吹いている様子は、数日見逃すと
もうその年には見ることができない。
同じところでずっと暮してきたのに、
見落としてきたことがたくさんあるんやな、て、なんか思った」
と、すっかり浄化された顔でおっしゃってました。
ええ話やな、と感化されて、今日は改めて薬草園をじいっと見回してみた次第。

このうちのどれひとつとして、
この場で名前をお知らせできないことは、本当に残念なのですが。
…精進します。(明日また先生に聞こうっ)

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ギンブロウ(学名:Phaseolus vulgaris)
マメ科
特に品種としての固有名はなく、一般にギンブロウと呼ばれ、
それぞれの家単位で個別に採種されている。
特定の地域で隔離栽培に近い状態で長年にわたって栽培採種されているため、
品質的には純粋な品種といってよいと考えられる。
(参考:「地方品種をめぐる2」西悦子著)※PDF

2014年6月29日日曜日

20140629:ベニバナ、リベンジ。


ベニバナについて、前回「花茶かな」と書きましたが、
どうやら違っておりました。
もっとおもしろい話がありました。

今もなお、咲き乱れるベニバナの軍団ですが、
やや黄色より赤い花のほうが目立つようになりました。
黄色は若いベニバナ、これは徐々に赤色に変わっていくのです。
黄色の色素はサフロールイエローでこれは水溶性、
赤色の色素はカルタミンでこれは水には溶けません。
ベニバナで染色するときには若い黄色の花を使います。
摘んですぐに水にさらして乾燥させる、という作業を何度もくり返すと
水に溶けない赤い色素のみが残るんだそうです。
これを餅みたいに杵でついて使うとか。
つまり、私が「花茶??」と思ったのは単なる無知でございました。
6世紀ごろ、推古天皇の時代から紅色をとるために使われてきたようです。
『源氏物語』では、葵上を弔うために、光源氏が喪服に使用しています。

ああ、何にも知らず、恥ずかしい限りです。
でもその知識を持って改めて見てみると、
黄色の花の花弁がピンとしているのにくらべ、
赤色の花の花弁はペシャンコなんですね。

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ベニバナ(Carthamus tinctorius)
キク科ベニバナ属
一年草または越年草。雅称を末摘花(すえつむはな)とも言う。
エジプト原産、日本にはシルクロードを通じて4〜5世紀ごろ渡来。
染料としても薬草としても使われる。
染料としては、花を発酵・乾燥させたものが紅色の染料や着色料の材料となり、
生薬としては、紅花(こうか)と呼ばれ、養命酒にも含まれる。
種子からコレステロールを取り除くリノール酸を含む良質の油が採れる。
(参考:Wikipedia季節の花300

2014年6月27日金曜日

20140627:ワスレグサ


いたるところで言っていますが、私はユリは好きじゃないのです。
誰もが「好き」って言うし、華やかで匂いもステキで、
「美しさ」がとてもわかりやすい、わかりやすすぎる。
どうしてもそう感じてしまうのです。
ただ、数年前に高知の誇る牧野植物園で、
確かユリの展覧会か何かやっていたときに、
パシャリ、パシャリと写真を撮っていて、
目を奪われてしまったことがありました。
青い壁紙の中で展示されたキイロのユリ。
シャンと伸びた雌しべの先から水滴がこぼれていました。
その様子が生々しくエロティックで、
「なんて美しいのだろう」と見とれてしまったのでした。
それ以来、ユリを見るときには、真ん中の部分を先に見てしまいます。

さて、冒頭の写真はノカンゾウ。
漢字をあてると「野萱草」。
漢方薬で有名な「カンゾウ」はマメ科で「甘草」と、ベツモノです。

下の写真は、ヤブカンゾウ。
ノカンゾウは一重、ヤブカンゾウは八重。
属名はワスレグサ。
和歌の季語として詠み込まれているものも数種あり、
この場合はヤブカンゾウを指すのが一般的で、
でも、詠まれているのは花ではなく葉であることが多いとか。

忘れ草
我が下紐に
付けたれど
醜の醜草(しこのしこぐさ)
言にしありけり(ことにしありけり)
『万葉集』大伴家持作
名前通りの「恋」を歌う切ない趣のものが多そうですね。


花粉が花びらにこぼれた様子なども、けっこうええもんやなと。

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ノカンゾウ(学名:Hemerocallis fulva var. longituba)
ヤブカンゾウ(学名:Hemerocallis fulva var. kwanso)
ユリ科ワスレグサ属
中国に分布するシナカンゾウを基本種とする変種であるとされる。
属名のワスレグサは、花の蕾を調理して食べると、
心配事をすべて忘れるほど美味しいことからきているという説と、
この美しい花を見ると憂さを忘れることからきているという説がある。
花の蕾を熱湯で湯がいて天日干ししたものが生薬「金針菜(きんしんさい)」。
これは利尿などに効能があるとされる。
花や若葉は食用にできる。
(ノカンゾウ参考:多摩丘陵の植物と里山の研究室
(ヤブカンゾウ参考:多摩丘陵の植物と里山の研究室

2014年6月26日木曜日

20140626:初夏の満開。


「花になる」は、植物にとっては、
ただ花粉の媒介者を呼ぶための戦略のひとつでしかない。
こないだも、BSチャンネルD-LIFEの映画でそんな話をしていた。
よくわかっているんだ、そんなこと。
人間だってある種の媒介者なんだから
「キレイ」やら「カワイイ」って思うということは、
その戦略にハマってるってことなんだろう。

これ、たぶんキク科だろうと思ってしつこく調べてみると、
似た写真のもので「ホソバムラサキバレンギク」というのが。
たぶんこれでしょう。

ガクがフレアーの層みたいに、こんなに。

名前のわからない花は他にも。
これなんて、どうでしょう。

これはツル性。
新芽が赤いのが、花に見えるのですね。
渋い朱色と、産毛に包まれた感じがカワイイ。

次に紹介するのは、知ってますよ。

ゴボウ。
アザミのような、実のような、そんな花が開きました。


これはクチナシ。
アリが営みの最中でした。

詳しいことは調べて、近々、またアップします。


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ホソバムラサキバレンギク(学名:Echinacea pallida Britton)
キク科ムラサキバレンギク属
北米原産の多年草で、耐乾性、耐寒性、耐暑性などがあり、極めて育てやすい植物。
初夏から晩秋まで赤紫色の花を咲かせる。
根(生薬:エキナセア根)の成分が免疫系を亢進することが分かり、
体の防御機能が低下した際にかかり易い風邪や感染症、
皮膚病治療や予防、傷の回復力を高めるなど、
「免疫力向上に有効なハーブ」として世界中で愛飲されるサプリメントにも。
(参考:武田薬品工業

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ゴボウ(学名:Arctium lappa L.)
キク科ゴボウ属の多年草
ゴボウを水にさらすと出てくる茶色はクロロゲン酸。
クロロゲン酸はポリフェノールで、抗酸化作用がある。
その他、食物繊維、特に水溶性食物繊維が豊富。
イヌリンが水溶性食物繊維の主体を成している。
日本には薬草として中国から伝来し、
生薬、漢方薬に用いられ、利尿、発汗、血液浄化、皮膚疾患の薬の材料としても使われる。
薬草としては発汗利尿作用のある根(牛蒡根:ゴボウコン)のほか、
浮腫、咽頭痛、解毒に用いる種子(悪実:アクジツ、牛蒡子:ゴボウシ)を用いる。
(参考:Wikipedia

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クチナシ(学名:Gardenia jasminoides Ellis)
アカネ科クチナシ属の常緑低木
果実は漢方薬の原料(三梔子)。煎じて黄疸などに使われる。
黄連解毒湯などの漢方方剤に使われる。
果実にはカロチノイドの一種、クロシンが含まれ、乾燥させた果実は
古くから黄色の着色料として用いられた。発酵させることによって青色の着色料にもなる。
これは繊維を染める他、食品にも用いられ、サツマイモや栗、和菓子、たくあんなどを
黄色に染めるのに用いられる。
(参考:Wikipedia

2014年6月25日水曜日

20140625:ギンブロウ


今日は、銀不老という豆を植えました。
…というか、銀不老って、ご存じ?
どうやら高知・大豊の特産らしいのですが、
私(高知出身)は恥ずかしながら知りませんでした。
社団法人農山漁村文化協会のホームページ「故郷に残したい食材」によると、
県内でもこの地域だけで伝えられてきた豆。
いぶし銀のような光沢を放つ。
黒大豆の旨味と金時豆の甘味を併せもつやさしい風味。
とあります。
さらに、同じホームページによると、
「銀不老」という名前の由来は、
「ぎん」はこの豆が黒色で艶があること、
「ふろう」は「不老」で、多くの機能性成分が体に活力を
与え若さを保つことにちなむと考えられている。
と。

つい先日、先生から、「あんた、高知やったら知っとるか?」
と言われたんだけど、全然知りませんでした。
地元ではこれを、ロールケーキ入れたり、
アイスクリームに入れたりして地域おこしの一端を担っているとのこと。
古くからは、おにぎりや混ぜご飯、お寿司などに混ぜられていたとか。

マメ科でツル性だと、見た目のインパクトにはやや欠けるので、
一度聞いただけでは忘れてしまいます。
だから今日も「先生、銀不老って、どれでした?」。


今日はフジマメと比較して見てみました。
(フジマメは写真を撮らず。迂闊でした)
フジマメは葉脈まで赤紫っぽいのに対し、
こちらはもうちょっと緑。
でも、葉のカタチはほとんど同じようです。

植えたのは、冒頭の写真の3〜4倍ほどの量の豆(種)。
薬草園はまた、豆だらけになってしまいそうです。苦笑。

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ギンブロウ(学名:Phaseolus vulgaris)
マメ科
特に品種としての固有名はなく、一般にギンブロウと呼ばれ、
それぞれの家単位で個別に採種されている。
特定の地域で隔離栽培に近い状態で長年にわたって栽培採種されているため、
品質的には純粋な品種といってよいと考えられる。
(参考:「地方品種をめぐる2」西悦子著)※PDF

2014年6月24日火曜日

20140624:たぶん、温州みかん。


それこそ、「こんなとこに花咲きそうなんて、あったっけ?」で
ついつい立ち止まってしまいました。
「これはミカンやんか」
…と先生は言っていたのだけど、
なんせ、ほとんど花を知らない身でございますから、
ミカンと聞いて、「ミカン」と調べると、
その種類の豊富さに驚愕したのでした。
…よく考えてみたら、すぐに思いつきそうなのですが。
ミカンの花と葉の形状から、たぶん「ウンシュウミカン」ではないかと。


とは言ってみたものの、探してみると、他にも候補はいろいろ。
レモンに、ハッサク、新甘夏に、清見オレンジ等々、
当たり前だけど、花も葉もとてもよく似ていて、あまり自信はありません。

先生曰く「植え替えの時期を逸してしもうたから、
スネてしもうて、花も今年は咲かないだろう」とのこと。
でも、だったとしても、近くからだって
まぁるいツブツブがたくさん成っているように見えます。
スネてしまった姿も、それはそれで、愛らしいなぁ。

そういえば、今日の先生の話によると、
ベニバナの色の話はちょっとおもしろかった。
それはまた、別の機会に。

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ウンシュウミカン(学名:Citrus unshiu)
ミカン科ミカン属
常緑低木。「ミカン」という場合、普通はウンシュウミカンを指す。
果肉にはプロビタミンA化合物の一種であるβ-クリプトキサンチンが
他の柑橘に比べて非常に多く、これには強力な発ガン抑制効果があるとの報告がなされ、
近年注目されている。オレンジ色の色素であるβ-クリプトサンチンなどのカロテノイドは
脂肪につくため、ミカンを大量に食べると皮膚が黄色くなる。
その他、クエン酸、食物繊維。白い筋にはヘスペリジンが含まれ、
動脈硬化やコレステロール血症に効果があるとされる。
漢方では、未成熟なものの果皮を青皮、
熟したものの果皮を陳皮として利用する。
成分としてヘスペリジン、ルチンなどフラボン配糖体が含まれている。
陳皮は七味唐辛子の材料としても。
(参考:Wikipedia

20140623:ポポーノキ


薬草園には、先生がどっかから拾ってきたような木がたくさん。
時間があるときには、それらもひとつずつ解説してもらっています。
ただし、一度では覚えられないので、
毎度同じことを質問しているのですが。
でもこれは、名前を聞いたときに一発で覚えました。
「ポポーの木」。
先生がそう教えてくれたときに、
思わず、『ドラゴンボール』にいそうな名前やな、と
丸っこいキャラクターを思い出したからです。
小振りで、でも厚みのある葉がぽってり。
なぜだかちょっとうれしくなってしまったのでした。

私にとっては、初めましてのポポー。
でも、先生も「この実を取って食べる」と言っていたし、
母もそんなようなことを言っていたし、
やはり、知らぬはワタクシノミ、でございます。

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ポポー
バンレイシ科ポポー属
落葉高木。温帯果樹。でも、寒さには非常に強い。果実は食用とされる。
原産は北米で、日本には明治期に持ち込まれた。
春に紫色の花、秋には黄緑色の果実。
この紫色の花は肉の腐った匂いをさせて、
ニクバエや甲虫類を花粉媒介者として呼ぶらしい。
果実は大小不揃いになりやすい。
完熟すると木から自然落下し、その数日後、香りが強くなってきた頃が食べごろ。
(参考:Wikipedia

2014年6月22日日曜日

20140622:ベニバナ


この土曜日には、薬草園で、ベニバナを摘んで
お茶にしたり、染め物もやったりしたのかな。
私は昨日は行けなくて、今日行ってみると、テントの下のテーブルの上に、
ベニバナの花びらが入った紙コップが置いてあった。
白い紙コップの中に散らばったオレンジとキイロの細長い花びら。
何と言うべきか。なんとなく美しい。
このベニバナたちはただいま満開。



もうひとつ、ベニバナ畑の筋がある。
この満開の花たちと同じ時期に蒔いたものだと思うけど、
そっちの花期はまだ先のよう。
雑草に覆われすぎて、日光を受けられないヤツもいたのか。
金曜日の夕方と今日の午後は、こちらの畑の草引きをずっとしていた。

ベニバナとほぼ同じ場所に生えている雑草など、
いっしょにベニバナを抜いてしまわないよう、
ベニバナの根っこを傷めてしまわないよう、抜き方には技術を要する。
間違って抜いてしまったときなど、
言い訳のように埋め合わせをしてしっかりと土を押さえ込む。
草引きをしていると無心になれる。
ぼんやりと考え事でもしているつもりでいたけれど、
今日、少し自分のことを観察していたら、
雑草をどの方向に、どの角度で抜くか、
みたいなことしか考えていないことに気づいたのだった。

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ベニバナ
キク科ベニバナ属
一年草または越年草。雅称を末摘花(すえつむはな)とも言う。
エジプト原産、日本にはシルクロードを通じて4〜5世紀ごろ渡来。
染料としても薬草としても使われる。
染料としては、花を発酵・乾燥させたものが紅色の染料や着色料の材料となり、
生薬としては、紅花(こうか)と呼ばれ、養命酒にも含まれる。
ベニバナのキイロを紅色にするには、
花を摘んですぐに水にさらして乾燥させる作業を何度もくり返すらしい。

2014年6月20日金曜日

20140620:カキノキの原種


柿の原種は古くに中国から朝鮮へ、朝鮮から日本へ伝わったとされています。
その原種は日本にて改良され、1789年にヨーロッパ、
そこからアメリカへと伝わったらしい。
万葉集にも源氏物語にも、柿の記述はなく、
その辺りから、平安時代より後に柿は改良されたと考えられている、とのこと。
日本ではかなり昔から果実として親しまれてきたかと思っていたから意外。
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
正岡子規の超有名な歌も、明治ですもんね。
それでも、柿は落葉樹で紅葉するから、果実の話はなくとも、
その色の変化がどこかに盛り込まれていても
おかしくなさそうで、ちょっと不思議です。

柿の木の一般的なのは雌雄の株が同じで、
1本の木の中で雌花と雄花を持つんだけど、原種は雌雄の株が別々。
薬草園にはもちろん、原種ではない柿もありますが、
やっぱり原種は珍しいのでこちらを写真におさめてみました。
葉っぱの陰に隠れるようにして直径2cmほどの小さな実。
でもこれは、これ以上は大きくならないそうです。


全景も小振り。
でも、大きいものは10m近くになるとか。
まだまだこれからです。


関係ないけど、私のお気に入りのアマドコロ。
花より葉っぱの流線的な白い紋様が好き。
どうしたらイメージ通りに撮れるのか思案中。

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カキノキ
カキノキ科カキノキ属
落葉樹。
熟した果実は食用、幹は家具材、葉は茶の代わりにもと、
とにかく生活に密着している。
果実にはタンニンが多く含まれ、柿渋は防腐剤としても。
葉にはビタミンCやK、B類といったミネラル分フラボノイドなどが多く含まれ、
血管を強化する作用や止血作用を持つとされるため、
お茶は、民間療法に古くから使われており、
また、近年では花粉症予防にも有効とされ、サプリメント等に加工され商品化されている。
その殺菌効果から柿の葉寿司などにも利用される。
生薬名は「柿蔕(してい)」。
(参考:Wikipedia

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カキノキの原種
カキノキ科カキノキ属
原種の実は渋柿。

2014年6月19日木曜日

20140619:ウイキョウより始めて。







































花の先をちぎって食べてみると、甘い味、
その後にスーッと爽やかなハッカのような香りが口に広がります。

ウイキョウ。
薬草園ではものすごく背が高くなってしまっていて、
その“伸びすぎた”足元(茎)ばかりが目につくので、
あんまり美しいと思ったことがありません。
でも、先生に勧められて口に入れると、上の如く。
「これ、サラダにいいと思わない?」と先生。
たしかに、パセリの代わりに入れておくのも、
刺身のツマとして食べるのも、変化があって楽しそう。
私は食べたことがない、というか、
日本ではほとんど食用に出されることはないそうで、
多くは生薬「茴香」として、漢方や、市販薬なら太田胃散や仁丹に使われている。
食用としては、日本ならば沖縄料理で、整腸作用のある島野菜として扱われ、
あるいは西洋でなら、付け合わせ(臭い消し)として供されるとも。

ウイキョウ、上半身。大きい。

これは、単なるキャベツではありません。
呉市は広の特産のキャベツ。
その名もヒロカンラン。
私は食べたことがないけど、先生曰く、甘いのが特徴とか。
今はもう時期は過ぎてしまっているけど、
いつかおいしいヤツを食べてみたいなぁ。


今日は、昨日とはうってかわってのいいお天気。
土はからっからに乾いています。


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ウイキョウ(和名。英名ではフェンネル)
セリ科ウイキョウ属
ここでは和名で紹介しましたが、英名ではフェンネル。
Wikipediaで検索すると、「フェンネル」で出てきたので、
こちらが一般に使われている名称なのかも。
芳香の主成分はアネトールという物質。
(参考:Wikipedia

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ヒロカンラン
アブラナ科アブラナ属
明治時代から呉市広地区で栽培されていたキャベツ。
一時期は市場から消えてしまっていたが、
呉市農業振興センターの呼びかけで地道に守られてきた。
広のゆるキャラ「ひろげんき君」の栽培絵日記もある。

2014年6月18日水曜日

20140618:枯れ木と新しい芽吹き。


















「角が生えとるみたいじゃろ。それで『頭の治療にええ』て使い始めたらしい」
と先生が教えてくれたのは、カギカズラ。
確かに、茎にたくさんのカギ。
なぜか、1つ角と2つ角とが交互になっている。
こんなの、何かの道具にあったよなー、みたいなカタチ。
鎮痙剤や鎮痛剤の他、認知症にも薬効があるとされているとのこと。
生薬名は「釣藤駒(チョウコウトウ)」。
昔の人は発想が豊かやなーと驚きました。

薬草園のは残念ながら枯木になってしまっていますが、それでも“カギ”は健在。
調べてみると、この“カギ”、本来は枝だったと考えられているそうです。
↓この写真は、中国新聞の文化センターで行われた市民講座報告のサイトから拝借。
「広島の薬用植物と漢方」

















枯木と言えば、昨日の雨の中で気になったのがこれ。

















朱色の鮮やかさが際立って、薬草園で異彩を放っているのです。
これはウコンザクラ。
先生に「この葉の色は正しいのでしょうか」と聞くと、
やっぱりこれは葉が枯れているようでした。
枯れたと言われても、この朱色はちょっと美しい。
しなーっと力が抜けて垂れて、気だるそうなのがかえって艶っぽい。
枝はまだ弾力があり枯れておらず、
だったら、この葉が散ったら新しい芽吹きがあるのかな。

今日は雨上がりにピーナッツやらハブソウの苗を横っちょの畑へと移しました。
畑は学生たちの植えたイモに、トウモロコシにトマトに…と賑やかです。
先生がトマトの枝を切って分けてくれたので、その場で挿し木にしてきました。
栄養学科の人たちの植えたトマトやナスは、もうかなり立派になっています。
賑やかな畑は、それだけでウキウキと未来に満ちている。
なんて、枯れたものを少し意識すると、ちょっと浸ってしまったり。

新しい命と枯れた命。
私はどこか、不完全なものを好む傾向があるみたい。

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カギカズラ
アカネ科カギカズラ属
千葉県や神奈川県、京都や島根など、
分布が北の地域では絶滅危惧種に類するランクが与えられ、
特に京都市では「松尾大社カギカズラ野生地」は市の天然記念物に指定されている。
それ以南の地域では普通種、むしろ実生活では害木扱いされることも。
よく枝を出し、節々に鉤があるので、駆除するのもやっかい。
薬用としては、鉤は「釣藤鉤」と呼ばれる生薬として使われる。
成分としては、リンコフィリン,イソリンコフィリン、
コリノキセイン、ヒルスチン,ヒルステインなどのアルカロイドを含有し、
鎮痙剤や鎮痛剤として用いられる。
釣藤鉤を含む漢方処方である釣藤散を
アルツハイマー認知症型モデルのラットに投与した実験において、
優位な症状の改善が見られたほか、
脳血管障害型の痴呆モデルでも有効性が報告されている。
(参考:Wikipedia
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ウコンザクラ
バラ科サクラ属
サクラの栽培品種。花弁に葉緑体を持ち、淡黄色の花を咲かせる。
ウコンの根を染料に用いた鬱金色と色が似ていることから
「ウコンザクラ」と呼ばれる。

2014年6月17日火曜日

20140617:雨の日のゴボウ


















写真を愛好する父は、雨とあらばすかさずカメラを持って外に出ます。
雨の日のほうが植物の色が濃く見えるし、
雨粒の光具合がちょっと色っぽいから。
私もマネして長靴履いて、行ってみました。
写真の心得がなく、手ぶれか、予期せぬソフトフォーカスで
せっかくの雨を美しく撮れなくてとても残念。
ま、でも、植物はやっぱり心なし生き生きとして見えるのでした。
雨は雨で、オツなものです。

上の写真はゴボウ。
アザミみたいにトゲをたくさんつけています。
これからいよいよ開く準備を整えているようです。
花の色は紫。
私は見たことがないので楽しみ。

ゴボウはユーラシア大陸原産で外来種らしい。
でも、伝わったのは縄文時代じゃないか、とのことで
ま、そんな記憶の遠い時代なら、もういいじゃないか、という気がする。
食べるようになったのは江戸から明治とのこと。
それに、ゴボウを野菜として食べるのは日本と朝鮮半島くらいのものらしい。
世界的には、ゴボウは薬用として使われることがほとんどで、
欧米では根をハーブに用いているし、
生薬・漢方薬としては利尿、発汗、血液浄化、皮膚疾患の
薬の材料として用いられている…云々。

ゴボウの葉の裏を見てみましょう。


















これは何の虫でしょうか。
最初、アリかなーと思ったけど、よく見てみると、
羽もあるし、アリとは形状も違っていました。
きっと、アブラムシです。
雨避けに集まったのでしょうか。
それとも、ゴボウの茎は美味なのでしょうか。





















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ゴボウ
キク科ゴボウ属の多年草
ゴボウを水にさらすと出てくるあの茶色は、クロロゲン酸。
クロロゲン酸はポリフェノールで、抗酸化作用がある。
そのため、ゴボウ調理の三大新常識に
「皮はむかない、水にさらさずすぐ調理、大きめにゴロンと」が挙げられるらしい。
日本には薬草として中国から伝来。
薬用としては発汗利尿作用のある根(牛蒡根:ゴボウコン)のほか、
浮腫、咽頭痛、解毒に用いる種子(悪実:アクジツ、牛蒡子:ゴボウシ)を用いる。
(参考:Wikipedia

2014年6月16日月曜日

20140616:ハマゴウ


















初めて薬草園に足を踏み入れたとき、
こんなにはびこっていたかな?、と先生に聞くと、
「こいつは砂を見つけたらすぐに広がる」と。
なるほど、足元を見てみると、あ。

転地を見つけて芽吹いた方々。














e-yakuso.com」によると、
名前の由来も、このように、地を這って繁茂することから、とか。

近づけば、爽やかな匂い。
生きる力の強さは、先祖代々、
あまり良い環境で生きてきたわけではないからなのか。
スキを見つければこうしてはびこってくるわけです。
どん欲な生き方。
でも、その葉一つずつを見ると、形は整っているし、
淡いグリーンが爽やかで、匂いも相まっていい気分。


















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ハマゴウ
クマツヅラ科ハマゴウ属
果実は蔓荊子、茎葉は蔓荊葉といって、いずれも陰干ししたものが生薬として使われる。
蔓荊子は、漢方では滋養強壮、解熱、消炎などの目的で服用される。
花期に刈り取られた蔓荊葉は入浴剤として。
神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり、冷え性などの痛みを和らげる効果があるとされる。

2014年6月15日日曜日

20140615:茶色


薬草園をウロウロしていると、
こないだも見つけていたキノコがまたもニョッキリと生えていました。
キノコはたくさん種類があるので正確ではないかもしれないけど、
これは、たぶん、キコガサダケ。
細くて長い柄、カタチのいい傘。
キノコには、他の植物を枯らしてしまうものも多いし、
なんとなく不潔な印象を持たれがちなのでイヤがられる存在だけど、
こうして見てみると、けっこうかわいい。
キコガサダケは、調べてみると、そんなに害があるわけでもなさそう。
この花壇は、ちゃんと日よけがされてあるから、
それで出てきたんでしょう。

さて、先週の火曜日に植えたサツマイモ。
日々せっせと水をあげていると、
いくつかはすっくと立つようになりました。
水をあげるときのコツ。
葉っぱにできるだけかからないようにすること。
葉っぱが傷んでしまうと、
光合成も蒸散もできなくなってしまうから?
今日はなんとなく葉っぱに土がこびりつきすぎて
しなーっと元気がないものもあったので、
そういうヤツの葉っぱの汚れを落としてあげました。
…いらんことやったかもしれんけど。
これは元気な苗の葉。
元気なヤツは、葉っぱが比較的キレイ、
な気がする。











薬草園の横には、
最近、栄養管理学科のために畑ができていて、
そこではせっせと野菜が育てられています。
いや、薬草園にもかなり野菜が見られる。
これ、私の植えた列。
なんだかちょっと頼りない。














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キコガサダケ
オキナタケ科コガサタケ属
6〜7月、湿気を好む。

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サツマイモ
ヒルガオ科サツマイモ属
サツマイモは繁殖能力が高く、窒素固定菌との共生により
窒素固定が行えるため、痩せた土地でもよく育つ。
数枚の葉がついたツル(茎)を土に挿すという形で定植し、
不定根を発生させる。
その後、不定根が十分に肥大したところで収穫するのが一般的。
花はピンクでアサガオによく似ているが、
短日性で鈍感なため、開花しにくく、品種や栽培条件によってまれに開花する程度。

2014年6月14日土曜日

20140614:トウキ

トウキの葉はちょっと複雑なカタチながらも左右対称。

鉢に植えられたこの人、5月の薬草マイスター講座で
「この葉っぱをもんで匂いかいでみい」と先生からちぎってもらったトウキ。
言われた通りに匂いをかいでみると、
セロリとよく似た、爽やかな香りがスーンっと鼻に通ってくるのでした。
  先生「この匂い、好きな人」
  熟練の生徒たち「はーい」
そこにいた人のほとんどが手を挙げたんじゃないでしょうか。
私もこの香りは好き。

匂いをかがれたこの枝を最後に受け取っていた私は、
「好き」と言った手前、捨てるワケにもいかず、
手にしっかりと握ったまま持って帰ってきてしまったのでした。
なんとなく、そのまま放っておくのも気が咎めるので、
しばらく水につけておくと、3週間後ほどでしょうか、根っこが出てきました。
先生が言うには、トウキを挿し木にするという栽培方法は、
センモンカのジョーシキとしてはあんまり誰も思いつかなかったらしく。
でも最近、挿し木の方法も論文で発表されていたそうで
「出るんじゃなーって思っとったけど、本当にやる人がおるんじゃね」と。
何の狙いもなくただ水につけていた、というだけなので、
なんだか、おこぼれを拾った気分です。

根っこの出たオオモトの枝は、上の写真のように鉢に植え替えました。
あと、先生の助言に従い、枝分かれの部分から3本にわけて、
また水につけています。今、ちょうど1週間くらい。

早く出てこないかなぁ。














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トウキ
セリ科シシウド属の多年草。
薬用植物としても栽培される。
根は血液循環を高める作用があり、充血によって生じる痛みの緩和に有効。
日本薬局方では「生薬トウキ」の基原植物は、
トウキおよびホッカイトウキとされる。
四物湯、当帰芍薬散、当帰建中湯、補中益気湯、紫雲膏、当帰湯などの
漢方方剤に使われる。

2014年6月13日金曜日

20140613:ジギタリス







































薬草園の奥のほう。
メグスリの木やホオズキに混じって、
白と紫の釣鐘型の花が、ラッパがいっぱい並んだように咲いていました。
オオバコ科ジギタリス、別名「狐の手袋(foxglobeの和訳)」。
この「ジギタリス」という名自体が
ラテン語の「指サック」みたいなことを意味するようで、
世界中で、この花には同じ連想をするようです。

紫もかわいいけど、私は、この、白いのが
繊毛をいっぱい口から生やしているのがかわいくて、
ついついこんなふうに撮ってしまいました。
花からしたら、要するに陰部が写されてるわけで、
「あら、いやん」というとこでしょうか。







































こんな容姿でありながら、ジギタリスは毒草に分類されます。
古代には切り傷や打ち身に対する薬として使用され、
18世紀には強心剤としての薬効が発表されて以降は
うっ血性心不全の特効薬として不動の座を得ているけど、
全草に猛毒があるため、素人が処方すべきでない、とのこと。
以前、医薬品各状に収録されていた生薬「ジギタリス」「ジギタリス末」も、
平成17年に削除されたそうで、ほかに視覚異常の副作用もあるとか。

葉がコンフリー(食用)とよく似ているので、誤食されることもあるらしい。
食べると、胃腸障害、嘔吐、下痢、不整脈、頭痛、めまい、
重症になると心臓機能の停止によって死亡することもある…。
そういえば、先生が誤食した人の話をしていたなぁ。
コンフリーと違って苦いのが特徴。要注意。

それにしても、姿かたちは美しいのだ。
美しいものには毒がある。
って、そのままか。