2014年12月23日火曜日

20141223: 寒空の下。

最初に先生から「桜が咲いてるの、見た?」と言われたのは
10月半ばのことでした。
ということは、もうかれこれ2ヶ月ほど。
本人もかなり満足気で、まだまだ咲いていそうにしています。
年が明けてもこの状態なのかしら。
横でほとんど同じタイミングで満開を披露していた
ラン科のホニャララは、もうすっかりこの有様というのに。

サンザシもなかなかしぶとく。
それこそ、たくさんの実が突風で落ちてしまったのは台風のころでした。
そんなことにもめげず、しつこく木にしがみついているのですが、
これはちゃんと自分の生を全うできるのでしょうか。
落ちてしまわなければ、あるいは、食べられてしまわなければ、
次のステップにいけそうには思えないのですが。

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——Sugarcubes "A Leash Called Love"

2014年12月21日日曜日

20141221:寒そげなレンギョウ。

今週は、雪と雨とで、水やりの必要がなく、
ついつい畑から遠ざかっていました。
おとつい、ドラッグストアでオガタにばったり出くわし、
「ひとりでせっせと雪だるま作ったんですぅー」と言われて、
やっぱり行けばよかった、と深く後悔したのでした。
雪の中で写真を撮るのは格別だったでしょう。
ともかく、今週は、今日しか行っていません。

レンギョウが咲いていました。
というか、普通、開花時期は3月末ごろのはず。
頼りなげに、ポツリポツリと咲いている姿はどう考えても寒そげで、
キイロの花びらが冷たい風になびくのを見ていると、
こちらもぶるぶるっと身ぶるいしてしまう。
冬は、たしかに気温も低いのだけど、
実は、寒いと感じる理由はそれだけじゃない。
寒さが浸透しているようなこうした風景のひとつずつや、
おお寒いと肩をすくめるポーズや、手をこすって温める仕草や、
吐く息が白いのや、そんなのが組み合わさって
ホンマに冬なんやな、そうやな、寒いよな、と諦める気分。
霜柱や氷柱にはまだ早いけど、そのうちくるよね。
でも、このレンギョウにはツボミがまばらに成っていて、
この寒い中、他のも開きそうにしています。

クチナシの茎には、たぶん、アブラムシのタマゴではないかと思われる
ボコボコがすき間なくできていました。
落ちるかなー、どんな感触かなーと、手で触れてみたけど、
頑にくっついて、落ちたりぷにょぷにょしたりしませんでした。

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——Dillon "Hey Beau"

2014年12月14日日曜日

20141214:紅。


ナンテン。
茎の紅の濃さが、モノクロームの薬草園に映えるのです。
いや、正確には、入り口にはクチナシの実もあるし、
紅葉していたり、カボスやスダチもすっかり熟しているし、
モノクロームではないのですが、
なんとなく終わりかけの雰囲気の中に、
ピンと生気の張ったナンテンの佇まいは目をひく。
こないだ、「赤は縁起物」と、先生の講義で聞いたことを書いたけど、
縁起物の話を聞かなかったとしても、ちょっとうれしくなるのでした。

その斜め隣にはカラスビシャク。
新しい茎がニョキ、と伸びています。
こちらも紅。

さて、いつもの通りにせっせと水をまいていると、
事務のフジトモさんが「がんばるねー」と通りかかったのでした。
「このトウガラシは完成形?」と聞くので、
「完成をとっくに過ぎたものです」と答えました。
畑にあるのは、葉っぱももう終わりかけているし、
青々としていた実はすっかり熟しきって赤くなったのを通り過ぎ、
シワシワにしぼんでしまったものが大半。
一時期は南蛮漬けにしてみたり味噌で炊いてみたり
佃煮にしたりと工夫を凝らしてがんばっていたのですが、
さすがに毎日トウガラシ(というよりシシトウ)というのも飽きてしまいました。
ときどき出入りしていたおばさま方も同じでしょう。
できたばかりのころは、ナイロン袋片手に
うれしげにお土産として収穫していたのに。
「赤くても酸味と甘味が増しておいしいんですよ」とは言ったものの、
自分が食べないものを人に勧めてもね、という気がして、
トウガラシの説明はそこでやめました。

会話が終わって、薬草園の中。
鉢に水をあげている最中に見つけた新しいトウガラシ。
サイズは小さいものの、こちらは、ピンと張って若くて食べごろです。
たぶん、畑のとは違う種でしょうが、いったい何でしょう。
京都の植物園や湧永で見た、あの黒いトウガラシを、
もっかい先生にプッシュしとこう。

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--Zombie Disco Squad "Righteous Sound"
私の中で超ホットなサウンド。

2014年12月13日土曜日

20141213:うう、寒い。


こないだまで意気揚々と実をつけていた木々もすっかりこの有様。
これはサネブトナツメ。
裸になってみてようやく、こんなにもトゲトゲしていたのか、とわかります。

こっちはナツメ。

こんな姿になってくると、いよいよ冬なんだな、と思うのです。
大学生のころ、私は京都にいたのですが、
バスケの練習の後、寒くて寒くて、コートを羽織っていると
福岡から来ている同級生に「まだ12月にもなっていないのに」と
バカにされたことを思い出しています。
でも、福岡と京都とでは、もちろん、高知も、気候が全く違っていました。
地面から寒さが伝導してきたように芯から冷えきってしまって、
まさに突き刺さるような寒さ。
ここ、呉はさすがに瀬戸内の気候で、
こないだまで「冬ってこんなだっけ?」ってくらい暖かかったのに、
さすがに12月に入ると一気にきました。

オガタと寒々ながら水まきの作業を一気にやってしまうと
もうすっかり手は凍ってしまっていました。
それでもカブの間引きに精を出し、それが終わるころには
手足の感覚は完全に麻痺、でございます。
ふたりで「寒いねー、冷たいねー」と笑いながら家路に向かうのでした。

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--Asgeir "Higher"

2014年12月12日金曜日

20141212:遅い発芽。


苗つけがやっと終わったものの、まだまだ植えるスペースが残っていたので、
菜花とはつか大根の種をまいてみました。
…というのが2週間前のこと。
いつもの感覚だと3〜4日でポツポツと芽が飛び出しているはずなので、
この2週間もの間、水まきしながら
「やっぱり遅かったかな〜」とがっかりしていました。
で、待望の発芽が今日のこと。
さっそく、相棒のオガタに知らせて、ささやかな喜びを分かち合ったのでした。

畑の具合はかなり順調。
それこそ、タイミングを逸したかと心配していたキャベツもこの通り。
苗つけしながら先生と話すのにも、
「この中のいくつかが元気に成長したらいいね」くらいの
淡い期待だったのですが、新しい葉っぱがピンと張ってきました。

これは菊菜。菊菜らしくなってきました。


上は聖護院カブ、下はニンジン。
どちらもとても元気。

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Lincoln Chase "I Love Your Many Ways"

2014年12月11日木曜日

20141211:カキとヨロイグサ。


かつて、雑誌編集者になるより前に、
私は印刷会社でカタログの企画制作をしていました。
「カタログ」と言うと、多くの人が思いつくのはきっと、
通販などの、雑誌のようにおもしろく整理されたカタログでしょう。
私が作っていたのは、配管部品やネジや建具のような
かなりマニアックな商品の総合カタログ。
いわゆるプロユーザーのためのカタログで、
ほとんどのものが1000〜2000頁もあるようなぶっといもの。
一般的にはほとんど日の目を見ることはありません。
でも、私はこの仕事が本当に好きでした。
ヘッダーやフッター、ツメや商品スペックのフォーマットなど
直感的な目の動きや手の動きを意識して、
罫線の太さや書体、情報の配分を設計するのはすごくおもしろかった。

前置きが長くなりました。
配管部品の総合カタログの新しい見せ方の企画を練っていたころ、
かわいがってくれていた上司が
回らない寿司屋に連れていってくれたことがありました。
そのときはまだその上司とも付き合いが浅く、
なんとなく緊張して、なんとなく沈黙のまま食べていたら、
(沈黙のペースが心地よいと、沈黙のままになってしまいます)
そこの大将に「うちの店は喋っていい店だよ」と心配されたので、
何か喋ることはないか、頭の中の引き出しをごそごそと探っていると、
(一度沈黙の心地よさに慣れると、沈黙を打ち破る何かが見つからない)
上司もその大将の言葉に慌てたのでしょう、飛び出した話は、
「うちの奥さんの持ってきた茶箪笥の上にエビアンのペットボトルが載ってて、
寝転びながら眺めてみたら『組み合わせがいい』と気がついた」という話。
それが何かを暗喩しているような気もするし、
いや、何も含まれていないような気もするし、
その話が一体どこに向かうのか、同時に、その寿司屋で何を食べるべきか、
私は何を返事すべきなのか、困惑の中に迷い込んでしまったのを覚えています。
せっかくの寿司屋だったのに、私にとってはそれが強烈すぎて、
どこの寿司屋に行ったのかも、どうやって行ったのかも、
どうやって帰ったのかも忘れてしまった。

そして、その話は、この、カキとヨロイグサの組み合わせを見たときに
頭にふっと浮かんだのでした。

残念ながら、薬草園のカキは渋柿なのです。
先生が言うには「ドライアイスで甘くなる」とのこと。
たしかに、先生がドライアイスで処理したカキはすごく甘かった。
どういう変化が起きているのでしょう。

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Spandau Ballet "True"
「はっははー」のとこのメロディがツボやね。

2014年12月10日水曜日

20141210:新芽。


刹那的に紅く美しい木々が増えるその一方で、
新しい葉を出すものも、同時に。
立て札など気にせずにファインダーをのぞいていたので、
(それとも、そもそも立て札などなかったのかもしれない)
この美しい朱色の葉が何という植物のものなのか、
全くわかってはいないのです。

他の植物でこういう色を見れば、
もうこの植物は枯れるのかな、と思いそうな淡い黄色。
ヒトの血管のように通る葉脈が美しくて。

畑に行くと、もうすでに水やりは終わっていて、
先生はプレハブにこもって美術館での展示の準備の様子でした。
何を出すのだろう。興味津々。

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--Sade "Kiss Of Life"

2014年12月9日火曜日

20121209:キク


さすがに、花を探してウロウロとしても、
このところは目立つものがなくて(桜は健在)、途方に暮れてしまう。
そんな中、冬支度も万端になった方々をヨソに、
華々しく咲き誇っている菊。

「菊」とは漢名で、それを音読みして「キク」。
その「菊」というのは、究極や終わりを意味するそうで、
一年の最後に咲くから、という由来らしい。
小菊は野性味に溢れ、かなり寒くなっても咲くんだとか。
中国では不老長寿の薬効があるとされているそうです。

いよいよ枯れ枝ばかりが目立ってくると、
華やかなものについ吸い寄せられてしまいます。

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Herb Alpert "This Guy's In Love With You"

2014年12月8日月曜日

20141208:赤い実。


先生の話がおもしろいのは、
ひとつの話にいろんなものがぶら下がってくること。
昨日は薬草マイスター講座があったのですが、
そこでは季節に合わせて、赤い実にまつわる話が繰り広げられました。
センリョウやマンリョウ、ヤブコウジやカラタチバナの
年末年始に縁起物として登場するこれらの植物が話の中心。

話はそこから広がり、赤名峠の話題に。
先生はここの町おこしにも関わっているそうで、
この地名に「赤」がついていることから、
地域の歴史を掘り起こし、
出雲代謝の注連縄が代々ここでのみ作られていることや、
相撲の発祥地であることを街のネタに、と言い続けてきたらしい。
『出雲風土記』にムラサキの記載があったことから、
ムラサキ探しに出かけてみたり(でも見つからず)、
いつもに増してかなり興味深い話だったのでした。

話を戻すと、赤は、太陽や新しい生命を象徴するそうで、
センリョウ(=千両)やマンリョウ(=万両)だけじゃなく、
カラタチバナには百両という別名が、
ヤブコウジには十両という別名が、それぞれあるんだそう。
えと、でも、この写真はそのどれとも違うものですが。
また聞いておかなければ。これは一体、何でしょう。

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--Devo "Whip It"
アッパーなサウンドもさることながら、このプロモのクリエイティブさは…

2014年11月19日水曜日

20141119:ヤブレカブレ。

決して破れた葉っぱでもないのですが、
指と指の裂け目が大きいと、この終わりかけの紅も伴って、
「こいつ、破れかぶれに」と思わずにいられない。
…いや、今の私の状態を思わずにいられない。
だいたい、来週にはテストがあるというのに、
ワタクシめは未だほとんど何も理解をしていないという非常事態。
苗つけに夢中になっている場合ではないのです。

でも、夢中になってしまう理由は、
昨日ふらりと来た近所の農家の人に、
「あんたは植えるのがうまいねぇ。キレイに植えるもんやねぇ。
農業できる女性っていうのはいいねぇ」と大絶賛していただいたからでした。
ついこないだまで土に触ることすらためらわれた完全なるシティ派。
仕事といえば、ほとんどが街を闊歩して遊ぶことだったし、
実家の庭を眺めはすれども草引きすらしたこともなく、
母の実家は農家(@白木町)だというのに、
遊びに行って畑にも顔は出すものの、作業する手を羨ましそうに眺めるのみ。
つまり、収穫すら恐れ多くてできない輩だったのでした。
だから、そうやって褒めてもらうのがうれしくて。

酒場で誇らしげにその話をしていると、
「あれ、農学部、でしたっけ?」とからかわれてしまいました。

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--Wax Motif & Neoteric "Go Deep"
深みにはまりつつあります。

2014年11月18日火曜日

20141118:やっと終盤。


収穫が終わって、やっと苗つけをする場所ができました。
さっそくのその翌日から、先生の畑の整備が始まり、水曜日から苗つけを開始。
4限が終わってソッコーで作業を始めても、
5時半が過ぎるころにはすっかり日が暮れてしまう。
ほんの1時間ほどのすき間を縫いながら、
土日のほとんどを費やしながら、やっと終盤にたどり着きました。
前に植えていた大根やカブの間引きもしなければ、などと思っていると、
時間なんてあっという間に過ぎてしまうのです。
相方のオガタは授業が詰まっているし、
日曜はボランティアにいそいそと出かけてしまうので、
9割方は私が植えてしまいました。
「誰か誘ってやればいいのに」とたくさんの大人が言ってくれます。
でも、iPodを大音量にノリノリで単純作業をとつとつとこなすのは
共有しづらい楽しみと達成感なのでした。

そういえば、日曜日には、見回りの守衛さんが
「たいへんやねー」と言ってシュークリームをくれたり、
今日は、ふらりと来た近所の農家の人が「食べてみんさい」と言って
自分のとこで収穫したヒロカンランをくれたり、
ここで何かをしていると、何かと役得が多いようで。
なんだか、私ひとりで得してる感じで、申し訳ない。

--Scuola Furano "Danceteria"
podcast『soundwall』にて、大好きなDimitri from Parisのリミックスに収録されてました。
この80年代ディスコ風が最近のお気に入りなのです。

2014年11月15日土曜日

20141115:横顔。

結局、わからないまま撮っています。

クコ。
紫の花と、点々と主張する赤い実。

眠っていた心の中に 些細な些細な小さな傷 いつの間に
そのすき間から溢れてくるのは
あなたの名 優しく強い目 指 髪 全てに気付かされる
出逢えたこと 話をしたこと
次は触れたいといつからか願ってた
——aiko “横顔”

正面から向き合うこともおもしろいけど、
横からじぃっと見つめてみるのもいいカンジ。

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——Amy Winehouse "Tears Dry On Their Own"

2014年11月12日水曜日

20141112:見返り美人。


このシックな後ろ姿には、まいってしまいます。
振り返ると、
これまた万人が認める美人なのでした。

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--Bo Gumbos "見返り不美人"
単にこれやりたくて、後ろ姿を撮っただけだったりして。

2014年11月11日火曜日

20141111:たくさんの角度で。


先生に「ど忘れした」と言われて以来、
調べてみても名前が全くわからないまま、
というか、これが植物であることも忘れてしまいそうになるくらい
造形ばかりを見ているこのごろ。
このぷっくらとした鈴なりの花を
私が感じるのと同じような写真に撮りたいのに、
なかなか納得のいくものにならなくて、あがいてみています。

伝わるかなー。

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--Buffalo Daughter "Love & Food"

2014年11月9日日曜日

20141109:ムラサキの花たち。


結局、何なのかがわからないまま、
これは来年に持ち越されるのだろうと思っているもの。
この、ネックウォーマーの上にちょこんとついた
淡いムラサキの小花がかわいらしくて、
この枝分かれの具合もかなり控え目な感じを表しているようで
けっこうなツボではあるものの、
やっとこさ苗つけの準備で畑に精を出しはじめたこのごろでは
先生に会っても作業についての質問ばかりで
植物のことを質問するのをついうっかり忘れてしまうのです。
たぶん、花が終わったころに思い出して、
あー、また咲いたころに聞こう、となるのでしょう。

↓これはわかるよ。
またもお目見えのツリガネニンジン。
キキョウの一種。

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--Jane Weaver "Don't take my soul"

2014年11月8日土曜日

20141108:収穫。

半年足らずの月日を経て、ようやく出てきたサツマイモでございます。
薬草園の外の畑に植えられたイモ。
栄養学科の人たちのもいっしょに、
地域の人たちも集めて収穫を楽しんだのでした。

ピーナッツ。
こんなふうにできているとは想像してなかった学生も多いのでは。
たくさんの実が土に埋まっているとは言え、掘り出すのは意外と簡単。
根っこはしっかり這っているけど、
実は単に土に侵入しているだけだったりする。

収穫したものはその場で湯がいてみんなでいただきました。
でも、湯がかずとも、ナマのままで十分イケる。
数週間前に収穫して干しておいたのもいっしょに。
食べ比べもおもしろかった。

白ネギ。
ある程度、スコップを使って掘り出す。
傷つけないように注意が必要でした。
これ、事前に何本か私のエリアから収穫して食べたけど、
かなり太くて(直径35mmほど?)甘い。
ネギもこんなに。
みんなで分けて持って帰りました。



大きなものを掘って出すのはけっこうな達成感で、
みんなでやると一気に終わりました。
掘り出したのは、それこそ、その場で焼芋に。


もちろん、大量すぎてその場で食べきれるはずはなく。
絵本『おおきなおおきなおいも』を思い出してしまった。

2014年11月7日金曜日

20141107:Pretty Young Thing


「かわいいもの」というとまっ先に浮かぶのが、
かつて、いとうせいこうが『an an』で連載していた
「切なさのツボ」というコラム。
ここには、たとえば、「吊った足の小指」とか、
イエローカードやレッドカードを出されたときの
ヨーロッパ人選手の仕草、なんかに感じる
不完全さに心くすぐられるかわいさが書かれていました。
もう10数年前のこと。
読んでいた当時は、中身に共感してぷくく…と笑うくらいだったのだけど、
一歩離れてよく考えてみたら、「切なさ」と題して
「かわいさ」について話していることに妙を感じてしまった。

たとえば、赤ちゃんにかわいさを感じるのは、切なさゆえに。
儚く、守ってあげなければならないがために感じる「かわいさ」。
あるいは、守られなければならないために醸し出す「かわいさ」。
ここに、愛情ホルモンと称されるオキシトシンなんかもかかわったりして、
私たちは身体に、むしろ、細胞に支配されながら
切なさを「かわいさ」に置き換える。
それこそ数年前に誰かが、女子高生の言う「かわいい」について
論文のようなものを出していて、
そこでは「かわいい」の定義の拡大を指摘していたと記憶する。
かなり具体的事例で迫っていたけど、
趣旨としては写真集を見るのと大差なかった。
そもそもそれは、広告の方法論としての「かわいい」を説いたものだったし、
それはそれでおもしろかったからいいのです。

感覚的、というのはかなりオブラートにくるまれた表現。
「かわいい」を「感覚的」とするのは逃げの口上かもしれません。
実際は、それは説明しきれない本能を指しているのだから。
だから、そう感じるメカニズムは意外と単純かもしれないし、
(もう知られていることなのかもしれないし)
ま、たぶん、人文的にやるには限界があるだろうな、と思う。

なんてエラそうに言いながら、
最初の写真に出てくるものが何なのかすらわからないのでした。
ただ、私にとっては、すぐにいとうせいこうのコラムを思い出すような、
ちょっとしたくすぐりと、その愛おしさがこの植物にある、
というダケのことだったりするのです。

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--Michael Jackson "P.Y.T."

2014年11月6日木曜日

20141106:華やか。


そういえば、この桜は十月桜なんだそうです。
先生に聞くと「何を言うとるんじゃ」と一喝(でもないけど)を受けました。
狂い桜のほうがバカで愛らしいと思っていたので、
なんとなくガッカリしてしまった。
寒い時期に咲く桜が咲いても当たり前じゃないの、と思ってしまったのでした。

それでも、この季節に華やかに開く花は心を誘うのです。
たとえば、これはランの一種ですが、
こんなふうに鈴なりだと、いくら「華やかなのは好きじゃない」と思っても
つい引き寄せられてしまうのです。
しかも、この渋い色合い。サイコーです。

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--Tony Bennett, Lady Gaga "But Beautiful"

--Lady Gaga "Poker Face"