2015年2月17日火曜日

20150217:オオイヌノフグリ。

ここで書いた話かどうか、すっかり忘れてしまいました。
二度目だと気付いても、目をつぶってください。
人生で初めて名前を覚えた植物はオオイヌノフグリ。
そのときのことは、今でもしっかりと覚えているのです。

私の姉は、子どものときから、よく草むらに入っては
「この植物は見たことがない」だの「このキノコは初めて」だのと
喜んで植物図鑑で同定する、という作業を黙々とする人でした。
私の人生初の挫折は「姉と同じようにはできない」ということ。
姉がいつものごとく草むらに入っていく姿をそばで眺めながら、
あるいは、家族ドライブの道中で峠に差し掛かったときに
「お父さん、あそこに見たことのないキノコがある」と言って車を停めさせ、
黙々とキノコの同定に勤しんでいる背中を見ながら、
「もう帰りたい」と心の中で思っていることに気がついたときに、
私は植物やそういった類のものに興味を持つことを諦めたのです。
「姉と私は違う」ということを幼いながらしっかり胸に焼き付けたのでした。

その姉が、私に教えてくれたのがオオイヌノフグリ。
たぶん、まだ小学校に入るより前のことだと思います。
道端にしゃがんで「これ、オオイヌノフグリ。
犬の顔と似ちゅうき、オオイヌノフグリっていうがで」
と教えてくれたのでした。
私はどうしても「犬の顔と似ている」とは思えなかったのだけど、
姉のいうことは正しいはず、きっと、私の見方が悪いのだ、と信じて、
「?」と思いながら「ホンマやね」みたいなことを言ったのでした。

冬と春の境目の日。
コートがいるかいらないか、くらいの頃のこと。
私は毎年、ふっとオオイヌノフグリと目が合うごとに、
「あんたの顔は、ちっとも犬とは似てないよ」と呟くのです。

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Tom Misch & Carmody "So Close"

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