2015年3月6日金曜日

20150306:ミツマタ



レオナルドにとって自然を描くことと自然を理解することは分かちがたく結びついていた。分岐した枝の断面積の合計が不変であるのは着目すべき点だと彼は気づいた。木の木質部は篩部および木部といい、網の目のような管状の細胞が糖を含む液体を先端から根へ、水を根から先端へ運ぶ。水路設計者としての眼から見て、レオナルドは木の枝が分岐しても枝の断面積が変わらず、これらの「管」の液体輸送能力が損なわれないことは重要だと考えた。(中略)突き詰めれば、生きものは生命を維持するのに必要な資源が組織に供給されなければ生きられない。人間のように呼吸する生きものは、細胞に絶えず酸素が供給されなくてはならないが、その酸素は気管支を経由して血液に取り込まれ、心臓血管網によって体中に運ばれる。同じように木と草も、水と養分を運ぶ維管束系が必要である。だが、分岐しているというだけでは不十分だ。重要なのは枝分かれが階層構造をなしていること、大きい枝が小さい枝に、それがさらに小さい枝に分かれていることなのである。 
*『枝分かれ』フィリップ・ボール著/桃井緑美子訳/早川書房より抜粋
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ミツマタの、どこまでいっても三等分な枝分かれは、
見ている私たちを不思議の世界へと放り出す。
最初の枝分かれから、花の直前の枝分かれまで全て三等分。
時空を超えてどの人も首をかしげて愛でたのです。
それが、「ミツマタ」という名に現れている。
私たちは自然の不思議な規則を目にし、それに愛着を持ち、
なんとかよく理解をしようと頭をぐっと抱え込む。
それをヨソに、規則正しく分かれた枝が、
「何か?」と言っているようでおかしくもあります。


私の地元はこういった和紙の原料となる樹木がふんだんにあって、
かつては日本紙幣の紙も作っていた、と聞いたことがあります。
ミツマタの靭皮繊維は短く、和紙を作るのに適している。
通常、和紙を漉くときは、枝を採取し皮をはいで釜で蒸し、水でさらして、
泥状になるまでしっかりほぐして、トロロアオイの根っこの汁を混ぜて使います。

今日は、近所の先輩がたとともに畑にジャガイモを植え付けました。
キタアカリにインカのめぐみ、ダンシャク、メークイン、アンデス。
ミツマタの花が咲きそうなのに気づいたのはこの週末で、
毎日毎日、じっと見ているけれど、今日もまだ。
寒さ引きつ戻りつで、見頃はまだまだ先みたい。
「今週末はあったかいみたいじゃけ、日曜日には」。
期待を込めて、誰かがふっとつぶやいていました。

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ミツマタ(学名:Edgeworthia chrysantha)
ジンチョウゲ科ミツマタ属
薬用部位は開花期の花蕾。これを乾燥させたものを、
生薬で新蒙花(しんもうか)とか蒙花株(もうかじゅ)という。
新蒙花の場合、根も薬用とするらしい(中国市場)。
解熱や消炎、眼病薬として、緑内障、鳥目などに。
(参考:イー薬草ドットコム
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Jim Pepper "Witchi Tai To"

Water spirit feeling
Springing round my head
Makes me feel glad
That I'm not dead

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