いたるところで言っていますが、私はユリは好きじゃないのです。
誰もが「好き」って言うし、華やかで匂いもステキで、
「美しさ」がとてもわかりやすい、わかりやすすぎる。
どうしてもそう感じてしまうのです。
ただ、数年前に高知の誇る牧野植物園で、
確かユリの展覧会か何かやっていたときに、
パシャリ、パシャリと写真を撮っていて、
目を奪われてしまったことがありました。
青い壁紙の中で展示されたキイロのユリ。
シャンと伸びた雌しべの先から水滴がこぼれていました。
その様子が生々しくエロティックで、
「なんて美しいのだろう」と見とれてしまったのでした。
それ以来、ユリを見るときには、真ん中の部分を先に見てしまいます。
さて、冒頭の写真はノカンゾウ。
漢字をあてると「野萱草」。
漢方薬で有名な「カンゾウ」はマメ科で「甘草」と、ベツモノです。
下の写真は、ヤブカンゾウ。
ノカンゾウは一重、ヤブカンゾウは八重。
属名はワスレグサ。
和歌の季語として詠み込まれているものも数種あり、
この場合はヤブカンゾウを指すのが一般的で、
でも、詠まれているのは花ではなく葉であることが多いとか。
忘れ草
我が下紐に
付けたれど
醜の醜草(しこのしこぐさ)
言にしありけり(ことにしありけり)
『万葉集』大伴家持作
名前通りの「恋」を歌う切ない趣のものが多そうですね。
花粉が花びらにこぼれた様子なども、けっこうええもんやなと。
ノカンゾウ(学名:Hemerocallis fulva var. longituba)
ヤブカンゾウ(学名:Hemerocallis fulva var. kwanso)
ユリ科ワスレグサ属
中国に分布するシナカンゾウを基本種とする変種であるとされる。
属名のワスレグサは、花の蕾を調理して食べると、
心配事をすべて忘れるほど美味しいことからきているという説と、
この美しい花を見ると憂さを忘れることからきているという説がある。
花の蕾を熱湯で湯がいて天日干ししたものが生薬「金針菜(きんしんさい)」。
これは利尿などに効能があるとされる。
花や若葉は食用にできる。
(ノカンゾウ参考:多摩丘陵の植物と里山の研究室)
(ヤブカンゾウ参考:多摩丘陵の植物と里山の研究室)
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