2014年9月22日月曜日

20140922:いがいが。


春の間からすでにとんがっていたチョウセンアサガオ。
白く優雅そうな花を咲かせるようですが、
花を見ることなく、実が熟していました。
これは6月ごろの姿。すでに痛そう。

今日は、薬草園で作業をしていた人が多く、
私が「この実はなんですか?」と聞きまわっていたら、
おもしろい話を教えてもらいました。

1800年ごろ、世界で初めて全身麻酔薬を創製して乳がん手術に成功したのは、
紀州の外科医、華岡青州という人でした。
彼は、和漢古今の本を読みあさって、山から草根実を採取し、
空地に薬草を栽培して、鳥や動物で薬効を試すのみならず、
自分のカラダ、母のカラダ、妻のカラダでも薬効を調べたようです。
その結果、母は死に、妻は中毒で失明したとか。
恐ろしい話ですが、これらの実験から、
「通仙散」という麻酔薬が誕生したとのこと。
これには、チョウセンアサガオの花、葉、味、ヤマトリカブトなどの根塊、
ヨロイグサの根、トウキの根、センキュウの根茎、テンナンショウの根茎が
それぞれ配合されています。
通仙散よりも先に、チョウセンアサガオを配合した薬方はあったようで、
それを参考にしながらつくられたこの薬は、
より体内吸収速度を抑えて安全性を高めたものなんだそうです。
以上、『イー・草・ドット・コム』も参照しました。

チョウセンアサガオの根はゴボウとよく似ています。
ただし、ゴボウと違って毒性が強い。
あと、チョウセンアサガオのつぼみはオクラとよく似ている。
もちろん、強力に毒性ありです。
チョウセンアサガオに関する中毒の話は、
ちょっと調べるとたくさん出てきます。要注意ですね。

チョーシにのって写真を撮っていたら、
脇の下やら腕にチクチクするものが。
「先生!、服にいっぱいつくんじゃが、こりゃあ、何じゃろ!」
と作業をしていたおじさまたちと私とで大騒ぎがはじまりました。
「そりゃ、ゴボウじゃが」と先生。
ゴボウは根っこをいただきます。
根っこばかりを見ているので、まさかこんな風貌だとは気付かないのです。
ゴボウの茶色部分に栄養素が多く含まれるので、
洗いすぎないことがポイント。

先日「これはなんだろう」とウヤムヤにしていたのは
猛毒・リシンの元であるトウゴマでございました。
こちらもいがいがとしています。

先生の話によると、毒を調べて薬草につなげることが多いとのこと。
それは、毒が代謝に直結するからだし、
その要素を何らかのカタチで薄めたり、中和させることで
カラダのどこかを補ってくれる薬になる。
一番最初に、先生の講座を受けたときに聞いた話ですが、
私はなぜかちょっとワクワクしながら、
話がストンと腑に落ちるのを感じたのでした。

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チョウセンアサガオ(Datura metel/L.)
ナス科チョウセンアサガオ属
葉や花をみると確かにそうなのだが、ナス科だったとはちょっと意外。
仏様が説法するときに、天から降りてきて人の心に喜びを感じることができる花、
という意味で梵語から「マンダラゲ(曼荼羅華)」との異名もある。
日本には17世紀末ごろに伝来。園芸用には「ダチュラ」の名で流通している他、
「キチガイナスビ」とも呼ばれている。
一年草で、夏から秋にかけて漏斗状の白い花を咲かせる。
果実は球形。短いとげが多数付いており、
熟すと割れて、中に入っているたくさんの種子を飛ばす。
有毒部分は花または全草、種子、葉。全草にトロパンアルカロイドを含み、
日本薬局方では毒薬に指定されている。
副交感神経抑制作用、中枢神経興奮作用がある。
現在ではアトロピン、スコポラミンの抽出原料とされている。
(参考:Wikipediaイー・草・ドット・コム/『原色薬草図鑑』北隆館P77)
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ゴボウ(Arctium lappa L.)
キク科ゴボウ属
ユーラシア大陸原産で、縄文時代か平安時代に日本に伝わったといわれる。
食すようになったのは江戸時代から明治にかけて。根や葉を食用とする。
花期は6〜7月。紫色のアザミに似た、トゲのある花を咲かせる。
ゴボウにはポリフェノールであるクロロゲン酸が豊富に含まれている。
このクロロゲン酸はゴボウを水にさらしたときに出てくる茶褐色の成分で抗酸化作用がある
そのため、皮をむかない、水にさらさずすぐ調理する、大きめにゴロンと切る、
というのがゴボウ調理の三大新常識となっている。
その他、食物繊維、特に、イヌリンを主体とする水溶性食物繊維が豊富。
薬用部分は葉(牛蒡葉=ゴボウヨウ)、種子(牛蒡子/悪実=アクジツ)、根(牛蒡根=ゴボウコン)。
牛蒡根は発汗利尿作用に、悪実は浮腫、咽頭痛、解毒に。
乳腺炎に、種をそのまま食べるか煎じる使用法も有効として民間に口伝えで知られる。
繊維質が豊富なことから、便秘予防にも。
試験管レベルの実験では、酸素状態の悪い大腸がんの細胞に対して、
選択的に倍加した毒性を発揮する性質があるともされるが、
大腸がんや直腸がん予防に効果がある、というのは正確ではない。
(参考:Wikipedia/『原色薬草図鑑』北隆館P123
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トウゴマ(Ricinus communis)
トウダイグサ科トウゴマ属
種子から得られる油はひまし油として広く使われている。
また、種にはリシンという毒タンパク質がある。
種子は主にリシノリンなどのトリグリセリドを多く含む。
紀元前4000年頃のエジプトの墓所からもトウゴマの種は見つかっており、
また、ヘロドトスや他のギリシャ人旅行者は、ひまし油を
灯りや身体にぬる油として使用していたという記述も。
インドでも、紀元前2000年頃からひまし油を灯りや便秘薬に使っていたという記録があったり、
中国でも数世紀にわたって、内用・外用の医薬品として処方されている。
現在、ひまし油は日本薬局方に収録されており、下剤として使われる。
ただし、猛毒のリシンが含まれているため、使用には要注意。
特に、妊娠中や生理中の女性は使用してはならない。
種子そのものを口にする行為はさらに危険。
(参考:Wikipedia
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--Suzanne Vega "Tom's Diner"

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