2014年10月8日水曜日

20141008:秋の風流。


私の畑には、どこから種が飛んできたのか、
まだ夏になる前からぐんぐんと育っていたハギが
(これだけはなんとなく抜かずに大事にしていた)
いよいよ美しい花をつけたのでした。
荒れ地に生えるパイオニア植物。
先端はしなやかにしだれて美しいけれども、
毎年新しい芽を出す、たくましい植物です。
これは秋の七草の一つ。お月見には欠かせないお供え物でもあります。

そうそう、今日は皆既月食でした。
街ナカで、校内で、スーパーの前で、至る所で
人が立ち止まり、ケータイを空に向けている様子は奇妙でもありますが、
私も同じようにケータイを空に向けて、
「雲で隠れて見えない」と送ってきた、
遠くにいる友だちに写真を送ろうと試みたりしたのでした。
これぞ、新型風流?
わけている 庭しもやがて 野辺なれば 萩の盛りを わがものに見る——西行法師

おけらも秋の七草のひとつ。
薬草園にあるのはホソバオケラ。
今、次から次へと花を開いています。
恋しけば 袖も振らむを 武蔵野の うけらが花の 色に出なゆめ——作者不詳
「山でうまいものはオケラにトトキ(ツリガネニンジン)、
里でうまいものはウリ、ナス、カボチャ」
と里謡に謡われていて、つまり、山菜として生活に溶け込んでいました。
(食べるのは、春の若芽。茹でて和え物にするらしい)
京都には「をけら祭り」という神事があって、
ここでをけらの根を焚き、その火を縄に移し、人々は家に持ち帰ります。
その火種を神棚や仏壇に、それに、正月のお雑煮を焚く火種にしたり、
これで一年の無病息災を祈願したとのこと。
生薬名で「朮」(ホソバオケラは蒼朮ですが)には
尿や汗、胆汁など体内の水分代謝異常を調節する作用があり、
この薬効が派生して、祈願に用いられるようになったようです。


ハギやオケラの姿を見て「秋やなぁ」と感じられる人は
今はどのくらいいるのでしょうか。
少なくとも私はこの秋にハギやオケラを「ソレ」だと思って初めて見たので、
これらを見て「秋やなぁ」と感じられるようになるには
まだ数年かかるのでしょう。
秋の象徴「秋の七草」。
教養として知っておくべきもののひとつでしょうが、
私のように「見てもソレとわからない」と実がないのは、
上っ面で、なんとなく味気ないですね。

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ヤマハギ(学名:Lespedeza bicolor)
マメ科ハギ属
薬用部分は根。煎じた液は、婦人のめまいやのぼせに効くとされる。
(参考:『原色薬草図鑑』北隆館)
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オケラ(学名:Atractylodes japonica)
キク科オケラ属
薬用部位は根茎で、「白朮(ビャクジュツ)」と称する生薬。
芳香性の精油を含み、健胃用などに用いられ、
四君子湯、健脾湯などの漢方方剤にも。
(参考:『原色薬草図鑑』北隆館)

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