2014年10月10日金曜日

20141010:トリカブト


「毒にも薬にも」の話でだいたい引き合いに出されるのはトリカブト。
悪心、嘔吐、下痢、唇のしびれ、めまいを初期症状として発し、
その2時間後ほどに循環器系、呼吸器系不全によって死に至ることも。
でも、それと同時に、薬用植物としても重要な植物なのです。
先生曰く「毒がある、ということは、カラダに作用するということ」。
そらそうだわ、と納得しつつ、筋が一本シュッと通った気がするのです。
当たり前のことだけど、薬は身体に作用する、ということがよくわかる。

トリカブトという名は花の形から。
舞楽の伶人が頭にかぶる鳥兜や烏帽子に似ているからとか、
鶏の鶏冠に似ているからとも言われます。
薬草には塊根を使うのですが、
球根の周りに子どものようにある部分が「附子」、
中央部の親みたいな部分が「烏頭」。
とにかく花は珍しい形で美しい。

この「附子」というのはよほど強烈なのでしょう、
さまざまなものへ派生して言葉としてくっついています。
たとえば、「ブス」の語源は、トリカブトの中毒で神経に障害が起き、
顔の表情がおかしくなったのを指す、という説。
それに、一休さんでお馴染みの水飴を舐める話は、
狂言の「附子」という演目がもとになっています。
つまり、「毒が入っているから」と言うところの毒とは附子のことなのですね。
あるいは、ヌルデに寄生するアブラムシは、
ヌルデの木に虫コブをつくるのですが、
そのカタチを称して「ヌルデノミミフシ」と呼ばれています。


--------------------
ヤマトリカブト(学名:Aconitum japonicum)
キンポウゲ科トリカブト属
全草有毒。特に塊根に有毒物質が集まっている。
有毒植物としての作用は、悪心、嘔吐、下痢、唇のしびれ、めまいなとの初期症状、
その2時間後くらいに循環器系、呼吸器系不全をおこして死に至る。
その治療法には、胃洗浄。活性炭を溶かした牛乳を服用しての吸着。下剤投与など。
薬用植物としては、加工調整を施した塊根を生薬として。
アコニチン系アルカロイドが中枢性の鎮痛作用や血管拡張作用、平滑筋弛緩作用、強心作用を示す。
附子エキスには抗ストレス潰瘍、腎機能改善作用などが認められている。
(参考:薬草と毒草と食草

0 件のコメント:

コメントを投稿