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2014年7月9日水曜日

20140709:自然の営み。


未知の環境に入り込むときにはやっぱり少し不安で、
私だって少し孤独なんてのも感じながら、
図太い顔を貫きつつ心をゆらゆらと揺らして過ごしています。
カワラナデシコは、薬草園の中でも誰にも教えてもらう必要もなく
私が名前を知る数少ない植物のひとつ。
そんなことだけでもついつい馴染みありそうげで、
はかなげに見せる淡いピンクの花とも心が通いそうで、
ふらりと吸い寄せられてしまいます。
なでしこは
咲きて散りぬと
人は言えど
我が標めし野の
花にあらめやも
——大伴家持
カメラを構えて見えたのは、カマキリがアリを捕獲する瞬間。
これは本当にそういう動作なのかわからないけど、
カマキリはアリを両手でしっかりと抱えて
自分の口へと運んでいき、うごめくアリの内蔵(あるのか?)をカプ。
アリはそれでもまだもがいています。

生きてんやなぁ、と感激してしまいました。

ギンブロウが大きくなっているその傍らには、雨上がりのこんなキノコ。

こちら、コガネキヌカラカサタケ。
全体的に黄金色の鱗片に覆われています。
こないだせっせと草引きをしているとき、
たくさんの腐植した草がここにはありましたが、
それらが栄養分になった模様。
目を離していたのは月曜と火曜のたったの2日間のみ。
どんな短期間にこんなにおっきくなるねん。
傘の部分はたぶん長さ5cmほど。
ちゃんと見ようと思うと、目が離せません。

うん。未知だろうが既知だろうが、馴染もうが馴染むまいが、
生きるということには特にモンダイないようです。

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カワラナデシコ(Dianthus superbus L. var. longicalycinus(Maxim.) Williams)
ナデシコ科ナデシコ
秋の七草のひとつ。奈良時代ごろから多くの万葉歌人に愛され、
たくさんの歌にも詠まれている。
ナデシコとは「撫し子」と書く。
かわいい子どもの頭をなでる様子に共感した感情から生まれたと言われている。
草原や山地、河原等の環境は人の手により草刈や枝打ちがされ、
いわゆる里山としての利用がされてきた日当たりの良いところが
カワラナデシコが生息するのに適している。
つまり、人間と密接な関係から繁殖がなされてきたと言える。
薬用としても利用されており、開花期の全草を乾燥させたものを瞿麦(くばく)、
種子を乾燥したものを瞿麦子(くばくし)という
顕著な利尿作用があり、塩化物の排出量が増加。むくみのときの利尿に用いる。
通経薬として、生理不順にも。ただし、妊婦には用いない。
(参考:イー薬草・ドットコムWikipedia

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コラネカラカサタケ(Leucocoprinus bresadolae)
ハラタケ科キヌカラカサタケ属
熱帯系のきのこで、奄美、小笠原以南で普通に見られる。
土壌中の腐植を分解して栄養にする。
森林内の落葉や倒木は、いくつかの微生物が入れ替わりで分解していき、
この腐植分解菌が関与するのは、最終に近い部分となる
食用というよりは観賞用。食毒は不明。
表面にある黄金色の鱗片は触ると落ちてしまう。
(参考:森林総合研究所九州支所『九州の森と林業』
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突然ですが、今日の薬草園でのテーマ。

There was a finer life 
When I was with my friends and I could always see my family
That's what I still want now
Even if I'm here and I know they won't be waiting
'Cause I don't want to be alone
I don't want to be here alone
--Toro Y Moi "Still Sound"

2014年7月7日月曜日

20140707:ネジバナ

雨上がり、というか、小休止。
不意の休講も、こう風雨が収まってしまっては。
ここぞとばかり飛び出して、薬草園にてぶらりぶらり。
足元を見ると、久しぶりのピンクと白の小さな螺旋。
ネジバナはここにも、ひっそりと生えていたのでした。

ネジバナを見つけるとやりたくなるのは、
そのネジリ具合の美しさについての採点。
このネジバナの場合、
技術(螺旋の角度と階数):4.5点
芸術(花の密集度):2.0点
で、10点満点中の6.5点といったところでしょうか。
花のパラつきと開いている角度が気になるところですが、
それでも、螺旋の構造は、
ネジバナのネジバナたる根本を見せられた気のするいいひねりです。

芸術点の高い例をお見せしましょう。
これは私の写真じゃなく、父が自分ちで撮ったネジバナの写真です。
写真が美しいということも大いにあるけど、
花の密度と咲いている顔の向き、そのウェーブの具合が
パーフェクトだと思いませんか。
これだと、技術点は低くても、十分美しいネジバナだと評価できるでしょう。

激しい雨の小休止にも、こっそりと、スクッと。
みちのくの
しのぶもじずり
誰ゆえに
乱れむと思ふ
我ならなくに
——『古今集』河原左大臣
※ネジバナの別名は「捩摺(もじずり)」。
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ネジバナ(Spiranthes sinensis var. amoena)
ラン科ネジバナ
学名の「amoene」とは、「愛すべき、人に好かれる」という意味
花がみんな一方向に向いてしまうと茎が傾くので、
花のほうで工夫してわざとねじるように花をつけるようになった。
巻き方の向きは、右巻き左巻きどちらも同等に。
途中でねじれる方向が変わるものも、ねじれないものもある。
通常、小型のハナバチなどが花粉塊を運んで他家受粉が起こると考えられるが、
長期にわたって花粉塊が運び去られないときには、
花粉塊が崩壊して柱頭に降りかかり、自家受粉を成立させる。
意外と考えられた設計の、ようでけた花でございます。
(参考:季節の花300Wikipedia

2014年6月27日金曜日

20140627:ワスレグサ


いたるところで言っていますが、私はユリは好きじゃないのです。
誰もが「好き」って言うし、華やかで匂いもステキで、
「美しさ」がとてもわかりやすい、わかりやすすぎる。
どうしてもそう感じてしまうのです。
ただ、数年前に高知の誇る牧野植物園で、
確かユリの展覧会か何かやっていたときに、
パシャリ、パシャリと写真を撮っていて、
目を奪われてしまったことがありました。
青い壁紙の中で展示されたキイロのユリ。
シャンと伸びた雌しべの先から水滴がこぼれていました。
その様子が生々しくエロティックで、
「なんて美しいのだろう」と見とれてしまったのでした。
それ以来、ユリを見るときには、真ん中の部分を先に見てしまいます。

さて、冒頭の写真はノカンゾウ。
漢字をあてると「野萱草」。
漢方薬で有名な「カンゾウ」はマメ科で「甘草」と、ベツモノです。

下の写真は、ヤブカンゾウ。
ノカンゾウは一重、ヤブカンゾウは八重。
属名はワスレグサ。
和歌の季語として詠み込まれているものも数種あり、
この場合はヤブカンゾウを指すのが一般的で、
でも、詠まれているのは花ではなく葉であることが多いとか。

忘れ草
我が下紐に
付けたれど
醜の醜草(しこのしこぐさ)
言にしありけり(ことにしありけり)
『万葉集』大伴家持作
名前通りの「恋」を歌う切ない趣のものが多そうですね。


花粉が花びらにこぼれた様子なども、けっこうええもんやなと。

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ノカンゾウ(学名:Hemerocallis fulva var. longituba)
ヤブカンゾウ(学名:Hemerocallis fulva var. kwanso)
ユリ科ワスレグサ属
中国に分布するシナカンゾウを基本種とする変種であるとされる。
属名のワスレグサは、花の蕾を調理して食べると、
心配事をすべて忘れるほど美味しいことからきているという説と、
この美しい花を見ると憂さを忘れることからきているという説がある。
花の蕾を熱湯で湯がいて天日干ししたものが生薬「金針菜(きんしんさい)」。
これは利尿などに効能があるとされる。
花や若葉は食用にできる。
(ノカンゾウ参考:多摩丘陵の植物と里山の研究室
(ヤブカンゾウ参考:多摩丘陵の植物と里山の研究室